日本マイクロソフトがWindows 11の最新動向を説明
日本マイクロソフト(株)は12月5日、Windows 11の最新動向について説明するコンシューマー向け戦略会見「Windows 11 Roundtable & Holiday Showcase」を実施した。
登壇した同社の執行役員 コンシューマー事業本部長の竹内洋平氏は、「Windows 11は、2021年10月に公開されてから、14カ月を経過し、順調に浸透している。現在、店頭で販売されているPCの9割以上がWindows 11であり、14カ月時点を比較すると、Windows 10のときに比べて6ポイント多くなっている。在宅勤務やオンライン授業などが当たり前になり、それに伴い、PCの利用が変化しているのも特徴で、PCの利用者数はコロナ禍前に比べて22%増加しており、一人当たりの利用時間は10%伸びている。PCが生活のなかで重要な立ち位置を占め、Windows 11が社会の基盤になっていることを実感している」と述べた。

日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー事業本部長の竹内洋平氏
2023年春まではWindows 8.1のサポート終了に伴う移行支援に力を注ぐ
まず竹内氏は、Windowsのサポート終了後、PCの出荷台数は長期間に渡って減少するが、2020年1月にWindows 7のサポートが終了して以降、2年目を迎えて、前年割れではあるものの、需要が回復傾向に転じており、これまでのWindowsのサポート終了後の需要動向とは異なることを強調。
その上で「コロナ禍でPCとの関わり方が大きく変化したことで、より性能が高いPCを使いたいといったニーズや、家庭内で複数台のPCが必要になるといった動きが出てきた。買い替えサイクルや、世帯保有台数が変化していることが背景にある」と分析した。
一方、説明会では、2023年1月10日にサポートが終了するWindows 8.1や、2023年4月11日にサポートが終了するOffice 2013から、最新環境に移行する必要性を訴求。
「2022年夏からWindows 8.1を搭載しているPCには、サポートが終了するというメッセージが表示されていることもあり、とくに、買い替えサイクルが長い郊外や地方の量販店では、今年夏以降、問い合わせが増加している。ヤマダ、ケーズ、エディオンなどの郊外型店舗では、Windows 8.1搭載PCを所有しているユーザーに向けて、PCを買い替えた際に、初期設定やデータ移行のサポートなどを行っている。国内では約100万台のWindows 8.1搭載PCが利用されていると推計している。安全で、生産性の高い環境に早めに移行して欲しい」と呼びかけた。
Windows 8.1およびOffice 2013は、サポートが終了すると、テクニカルアシスタンスと、ソフトウェア更新プログラムが提供されなくなり、コンピュータウイルスに感染しやすくなるなど、セキュリティリスクが一気に高まることになる。これは量販店との連携により、2023年春までの期間は、Windows 8.1のサポート終了に伴う移行支援に力を注ぐという。

Windows 8.1とOffice 2013のサポート終了に伴う、最新環境への移行を強く呼びかけた
「モダンPC」への買い替えに新たな利用提案 ~家庭向けにゲーミングとMicrosoft 365を訴求
日本マイクロソフトでは、Windows 11を動作させるために最適な機能を搭載したPCを「モダンPC」と定義。これに準拠したPCを、主要PCメーカーがラインアップしている。日本マイクロソフトによると、モダンPCの販売構成比は、2019年に比べて20%以上も上昇し、全体の6割に達していることが明らかにされた。

都市部・郊外における「モダンPC」の浸透
「モダンPCは、首都圏では7割以上、郊外や地方でも5割を占めている。モダンPCを使っている人は、そうでない人に比べて、外で利用する人が10%多い」などと説明。「より多くのことを達成しやすいPCがモダンPCである。過去4年間に渡って、業界全体でプロモーションを行ってきたことが功を奏している。モダンPCを利用した人は、次もモダンPCを購入するという傾向が強い」と述べた。
日本マイクロソフトの調査によると、PCの買い替えの際に「上位製品を使いたいため」という理由は、2007年に発売されたWindows Vista以降、下降傾向にあったが、Windows 11の発売後、一転して上昇傾向にあるという。さらに「最新のOSを利用したいため」という回答は2.6倍に、ゲームでの利用は2倍に増加しているという。

PC購入のきっかけ、購入したPCの利用用途に顕著な変化が見られた
これについて、竹内氏は「PC市場全体がマイナス成長であるのに対して、ゲーミングPCの成長率は、最近四半期で前年同期比33%増になっている。市場全体での構成比も上昇しており、3年前が7%弱だったのに対し、現在は直近では13%強にまで伸ばしている」と説明。
続けて「マイクロソフトでは、いつでも、どこでも、誰とでも、好きなゲームをプレイできる環境づくりを目指し、『Gaming for Everyone』をスローガンに展開。ゲーム専用機だけでなく、PCやタブレット、スマホでもクラウドゲーミングを利用できる環境を提供している。定額料金で数100種類のゲームがプレイできるXbox Game Passの提供とともに、PCメーカー各社との協業により、Xbox Game Passを同梱しているゲーミングPCも増えている。東京ゲームショウ以降、国内における利用者数が増加している」としたほか、「このほど、新たにモンスターハンターライズをXbox Game Passで提供することを発表した。2023年1月20日から、追加料金なしで利用できる。XboxとWindowsのクロスプレイや、Xbox Play Anywhereにも対応している。この発表は、マイクロソフト社内でも大いに盛り上がっている」と述べた。

「Gaming for Everyone」をスローガンに展開するゲーミング環境の構築

人気ソフト「モンスターハンターライズ」が、ついにXbox Game Passで提供されることも強くアピール
その一方で、Windows 11 2022 Update(22H2)では、生産性、コラボレーション、セキュリティ、アクセシビリティの領域において、さまざまな強化を実施したことを説明。
さらに、Microsoft 365では、新たな製品として「Microsoft 365 Family」を追加。ひとつのパッケージで6ライセンスまでの使用可能で、家族や友人が使ったりできるほか、新たに商用利用ができるようになったので、「PTAの活動で、ライセンスを持っていないPTA役員が一定期間利用するといった使い方もできる」と、新たな利用提案も行った。

「Windows 11 2022 Update(22H2)」の概要
そして、Microsoft 365では、従来からのOffice製品領域だけでなく、セキュリティやクリエーション分野にもサービスを拡大している点が特徴で、たとえば、Windows 11の基本機能として提供している「Clipchamp」は、Microsoft 365のライセンスを持っていると、より豊富な機能やサービスが利用できるようになっているという。
また今後、日本での発表が予定されている「Microsoft Designer」は、家庭内でクリエーションを行ったり、生産性を高めるための機能として提供。竹内氏は「今後も、高い生産性を実現する製品を継続して提供することを目指している」と述べた。
なお、コンシューマー用途でのMicrosoft 365の利用者数は、前年に比べて50%増となっているという。「在宅勤務の増加により、家庭用のPCでも、Officeを利用したいといったニーズがある。また、GIGAスクール構想の影響もあり、家庭用PCでOfficeを使うケースが増加している。プリインストールされているOfficeの機能をさらにアップさせるという用途としても、Microsoft 365を提案しているところだ」と語った。

「Microsoft 365」
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